足痩せのサービスの開始
ウエスト・ヒップ比、ウエスト周囲長の三つについて、どれがもっとも有効なのかを調べる研究がアメリカで行われた。
結果は、「ウエスト周囲長」が心筋梗塞の発生ともっとも深く関係しておく、病気予防の指
標として有効というものだった。つまり、わざわざヒップで割り算する必要はなかったのである。太ってくると、ウエストもヒップも、ともに大きくなるため、両者を割り算してしまうと意義が薄れてしまうのかもしれない。
ウエスト周園長は、へその高さをメジャーで水平にはかることでえられる。
CTやMRIなど高価な医療機器が普及している。いまでは、ほとんどの病院にこれらの機
械が設備されているのではないであろうか。
どちらも、体の横断面を撮影することができる画期的な診断装置である。CTはⅩ線を使って撮影する。MRIの方は、強い磁気をかけて分子の振動を記録するというハイテク機器である。それぞれ一長一短あるが、後者の方が微妙な構造を読みとることができるという点で優れている。
CTやMRIを使うと、皮下の脂肪も、また肝臓などにたまった脂肪も自在に測定すること
ができる。この機械を使って求めた内臓の脂肪と、さまざまな病気との関係を調べる研究も行われている。
最近わかったことは、肥満にも二とおりのタイプがあって、単に皮下に脂肪がたまるだけの体質と、内臓にたまりやすい体質があることと、後者の方が心妬梗塞などの病気になりやすいことであった。この点は、前述の、「ウエスト周囲長が心筋梗塞の発生率とよく比例している」という話と一致する。
そうだとすれば、やはり体脂肪率をはかっても意味がないことになる。体脂肪率では二つのタイプが区別できないからである。
ところで、脂肪を測定するための最強の手段であるCTやMRIには、一つ欠点がある。装
置が非常に高価なことである。特にMRIは、一台あたりの価格が一億円以上もするため、病院で検査をうける場合の料金も高い。脂肪を測定するだけの目的で使うわけにはいかないのである。
もっと気軽に使えるのは超音波診断装置(通称エコー)である。人間ドックでも、エコーを使って脂肪肝などの診断が日常的に行われるようになった。
脂肪肝とは、何らかの原因で肝臓に脂肪がたまく、脂肪が肝臓の総重量の五パーセントをこえた状態をいう。その診断は簡単である。肝臓の断面をエコーで撮影するものであるが、脂肪が多ければ撮影された画像も明るくみえる。肝臓の近くには腎臓や牌臓があることから、より明るくみえれば脂肪肝と判定できることになる。
脂肪肝は、人間ドックの普及にともなって、にわかにクローズアップされた病名である。そのため、言葉が有名なわりに、まだ研究は進んでいない。なぜ肝臓にだけ脂肪がたまるのか、よくわかっていないのである。また、肥満が原因なのか、アルコールの飲みすぎが原因なのかもよくわかっていない。
脂肪肝があっても、とりあえず健康に障害がでることはない。あわてて薬を飲んだりする必要はないのである。治療は単にやせればよいだけだが、最近は人間ドックなどで脂肪肝と診断される人が急増し、中には深刻に考えノイローゼになってしまう人もいる。過剰な医療の弊害といえるかもしれない。
ハイテクによる肥満の測定法をいろいろみてきたが、基本はやはり体重をきちんと測定することにつきる。体重は、朝と夜とでかなり異なるため、常に同じ時刻にはかった方がよい。
ところで、「朝と夜、体重はどっちが大きい?」という問いに、答えられるだろうか。
一日のうち、朝おきてトイレに行ったあとで、かつ朝食の直前がもっとも体重は少なく、夕食の直後で、もうこれ以上何も食べないというときが一番重いのである。その差は、人によって幅はあるが中肉中背の人で二キログラムほどになることもある。日中はエネルギー消費や発汗も多いが、それ以上に食べたり飲んだりすることで、体重がふえることになる。したがって体重測定は朝食前に行った方が、ばらつきが少ない。
逆にいえば、一晩でこれだけ体重が減少するということである。もし一日中、何も口にしなければ、これだけやせられるのである。
体重は、季節による変動も大きい。ただし個人差も大きく、季節によってはっきりした傾向があるわけではない。夏パテでやせる人もいれば、暑い季節の方が、たくさん食べて太るという人もいる。また夏は、汗をたくさんかいて脱水でやせるという人がいれば、逆に水分をとおりすぎて体重がふえてしまうという人もいる。
当然、着衣によっても違ってくる。体重をはかるときは、素足となり、軽い下着をつけた状態ではかるのが原則である。これ以外の方法で体重測定を行っても、厳密には健康指標にならない。なぜなら、肥満度を判定する基準や理想体重なども、こうして着衣や時間帯をそろえて集めたデータにもとづいているからだ。
ただ、普段の着衣のまま体重測定をうける機会も少なくないため、衣服のおおよその重さくらいは覚えておきたい。たとえば中肉中背の女性が上下のスーツを身に着けると、一・〇~二五キログラムほど体重がふえる。中肉中背の男性が財布や携帯電話の入った背広上下、ワイシャツ、ネクタイを身に着けると、二キログラムほどふえる。オーバーなどを着用すれば、さらに一・五キログラムほど重くなるのである。
体重測定のポイントは、素足で軽い下着をつけ、朝食前に行うようにすることである。また減量をはじめる時期は、自分の体重がもっとも重い季節がよい。暑い季節の方が太るという人は、夏からはじめる。そうすることで減量にも弾みがつき、やる気も持続する。
次に、肥満がもたらす体への悪影響をはかる方法について考えてみたい。
肥満は、まず血管に大きなストレスを与える。太ると血管は収縮し、血圧が上がることになるが、そこには自律神経が深く関与している。
自律神経は、食欲、呼吸、睦眠、血圧調節など、人間が生きていくために必須の機能をコントロールしておく、そのほとんどは無意識のうちに行われている。
たとえば強いストレスをうけると、心臓がドキドキしたり、血管が収縮して顔が青ざめたりする。冷や汗をかいたく、食欲がおちたくすることもある。これらは自律神経の中でも、特に交感神経の働きによる。一方へ安静にしているときは、心臓の鼓動が遅くなく、胃腸がよく動き、唾液の分泌も盛んになってくる。これらは副交感神経の働きによる。
両者は、必ずしも正反対の働きをしているわけではなく、それぞれがいろいろな生体機能を分担しているのである。かつ互いに相手をけん制しあう関係にあって、一方の働きが活発になると、他方が抑制される。自律神経の働きは単純でなく、精神状態とも密接な関係があるなど、なかなか難しい。
たとえば入浴によって、血圧が上がることも下がることもあるが、これは自律神経の働きが複雑だからである。入浴は、一日の疲れをとりストレスを解消するひとときでもある。仕事中ばんしゃくは、一般的に交感神経が優位になっていて、体全体が緊張した状態にある。入浴や晩酌によって、それが副交感神経優位へときりかわる。
ところがそのような状態のときは、意外なことに病気がおこりやすいときでもある。一時的に自律神経がアンバランスになってしまうためで、不整脈、血圧低下、めまいなどがおこりやすい。脳卒中や心筋梗塞の発作がおこることもある。入浴中の死亡事故が多いのは、このような理由による。ホッとするそのひとときが危ないのである。
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